♪AOR Album Review #27♪ Amy Holland ♪

白人女性による良質なAORアルバムって、なぜだかよくわからないですが意外に少ないですよね。そんなAORシーンにあって、当時から今でも根強い固定ファンが多く、ある種神格化（山口百恵状態…（笑））しているのが、本アルバムの主役であるAmy Hollandなのです。Amyは言わずと知れたMichael McDonald夫人なのですが、MichaelはそんなAmyのために忙しい中当アルバムのプロデュースを自ら行い、「作曲」「曲集め」「ミュージシャン選択」と多岐に渡ってその力を120%発揮して本作を完成させました。

当アルバムには、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったいわゆるAIRPLAY-TOTO系のスタジオ・ミュージシャンの参加こそ少ないものの、サウンドの方はMichael McDonald色が非常に色濃く反映されており、洗練さの中に親しみやすさも満たされた良質な内容となっています。

参加ミュージシャンは、(Produce、Key)Michael McDonald、Patrick Henderson、(Syn)Bill Payne、(G)Hadley Hockensmith、John McFee、(B)John Bay Pierce、Donald Boyette、(Ds)Mike Baird、(Per)Lenny Castro、(Harmonica)Norton Buffalo、(Horn arr.、Sax)Tom Scott、(String arr.)Nick DeCaro etc.となっています。当時のThe Doobie Brothersレコーディング人脈を多用しているのが窺えますね。

アルバムの主だった曲ですが、まずは冒頭①「How Do I Survive」。この曲は、言わずとしれた英国人Paul Blissの作曲で、The Bliss Bandの2ndアルバム「Neon Smiles(1979年)」に収められた曲の再演でもあります。それにしても、こんなマイナーな曲をしっかり見つけてきてアルバム冒頭でAmyに歌わせてしまうMichaelの眼力たるや、やはりスゴイものがありますね。③「Here In The Light」は、Michael作曲のほんわか気分なミディアム・チューンで途中Hadleyのギター・ソロがなかなか印象的です。ドラムのMike Bairdは曲全体に渡ってさくさくっとブラシで叩いてますが、こんな曲調ではほんといい選択ですよね。続く④「Stars」はDan Fogelberg作曲のバラード曲。Bassがぶい～んと泣いてますし、途中&エンディングのTom ScottのLyricon Soloもなかなか印象的です。⑤「Don't Kid Yourself」はAmy Holland自身の作曲ですが、リズム・パターンが完全にMichael節全開で思わずにんまりです。⑧「Holding On To You」は、どこか切ない雰囲気が漂うミディアム曲で、いつもなぜか!?鬱陶しく聴こえてしまう（笑）Pedal Steel Guitarもそうは聴こえず、曲にマッチしているのが不思議な感じです。いい楽器を適材適所に採用してるのもさすがMichaelの力ですよね。続く⑨「Show Me The Way Home」は、①と並ぶ本アルバムのハイライト曲です。この曲はMichael自身の作曲で、かなりPopな曲調で晴れた日のドライヴで聴きたくなるような雰囲気です。そういえば、この曲…以前、80年代にユーミンがDJをしていた自分自身のラジオ番組のテーマ曲でもあったのをふと思い出しました。ユーミンは「Amy Hollandのこのアルバムが好きだ」と語っていましたが、こうして改めて聴いてみると完全に80年代のユーミンってこのアルバムの影響受けてますよねぇ（笑）。

それから、個人的にはアルバム全体でセンスの良いギター・バッキングを披露し、後にCCM界の重鎮となるHadley HockensmithがMichael McDonaldと並んで本アルバムでのサウンド・メイキングのポイントではないか…と思っています。

このアルバムの後、Amy Hollandは1983年に2ndアルバム「On Every Your Word」を発表します。このアルバムでもまたまたプロデュースにはMichael McDonaldを迎え、バック・ミュージシャンとしてはJeff Porcaro、Steve Lukather、Richard Page、Steve George etc.が参加していますので、未聴の方はこちらも是非聴いてみてくださいね。

Amyはこの2枚のソロ・アルバム以降はリーダー作を一切発表しておらず、映画やTVのサントラの中でたまに歌声が聴ける程度の活動になってしまいます。（Amyは、どうも一時期かなりの難病にかかっていたようで、病床に臥していたようです）例えば、有名どころでは「St. Elmo's Fire(1985年)」のLove Themeのボーカル・バージョンで、Donny Gerrardとデュエットしていたり、「One Life To Live(1994年)」というアルバムでは、Michael McDonaldと「All I Know」という曲をデュエットしたりしています。不思議とAmyはデュエットが多いです。

話は、元に戻りますが、それにしても本作「Amy Holland」のアルバム・ジャケットってよくよく見るとこ・わ・いですよねぇ（笑）。当時、学生時代の友人とはこのアルバム・ジャケットについての話でもよく盛り上がってたものです。なんてったってまゆげが無い!?状態ですもんね（爆）。

（2005/04/18 up by Jeffrey)