♪AOR Album Review #23♪ Nielsen-Pearson ♪

“Nielsen Pearson”とは、Vocal・Keyboard・GuitarのReed NielsenとVocal・GuitarのMark Pearsonの二人によるユニットの事で、このユニットが残した3枚のアルバムの内、ラストにあたる最高傑作が本作「Blind Luck」という事になります。もともと、この二人による“Nielsen Pearson”はペイジズのようなバンド形式を取り4人グループとしてスタートしたようですが、最終的にはペイジズ同様、作詞・作曲を手がけて核を担うこの二人だけによるユニットとなってしまったようです。

本作「Blind Luck」では、Reed NielsenとMark Pearsonの二人は作詞&作曲とボーカルに専念し、バックの演奏はLAのスタジオミュージシャンを起用し完全に任せきってしまっています。参加ミュージシャンは、(Key)Robbie Buchanan、Jai Winding、(G)Michael Landau、Steve Lukather、Charles Johnson、(B)Neil Stubenhaus、(Ds)Carlos Vega、Vinnie Colaiuta、(Perc)Lenny Castro etc.　という完璧な布陣となっていますが、その中でも注目はRobbie BuchananとMichael LandauというMaxusコンビで、その活躍には目を見張るものがあります。

「Blind Luck」に収められた曲は、そのいずれもが非常にメロディックで80年代前半を象徴するようなフックの効いた佳曲揃いであり、彼らの作曲能力の高さを実証するものとなっています。全10曲中9曲までが彼ら二人の作品となり、残る1曲③「Too Good To Last」だけがDavid Robertsの作品となっています。プロデュースは、言わずと知れたAORシーンの大物エンジニアであるBill Schneeが担当しています。（確か、Boz Scaggsの名盤「Middle Man」もBill Schneeプロデュースでしたよね。）

次にアルバム「Blind Luck」の各曲紹介ですが、まずは冒頭曲①「Hasty Heart」。この曲のイントロでのRobbie Buchananによるキャッチーなエレピに、割って入るMichael Landauのギターと･･･もうこれだけで空気は完全に“80's”。一気にこのアルバムへ引き込まれてしまいます。カッコいいですよねぇ。Lukeのギターソロもいいし、個人的には、本アルバム中で一番のお気に入り曲です（笑）。続く②「Sentimental」も①同様に典型的なミディアム・80'sチューンです。この曲ではLukeに代わり、Landauのギターソロが聴けますがこれもなかなかGoodで良いですねぇ。Buchananのシンセが最高に心地良いです。③「Too Good To Last」は、名盤「All Dressed Up/David Roberts」にも収められていた佳曲で、本アルバム中唯一の他人によるナンバーとなっています。④「Break Nobody's Heart」、⑥「Lauralei」あたりは、本作の中でも比較的エッジの効いたナンバーで、元気いっぱいのMark Pearsonの歌声が聴けますし、⑤「I Hear You Breathing」は胸キュン!?で何となく切なくなってしまいますよねぇ。あと⑦「Expectations」、⑧「Fadeaway」、⑨「Got Me Where You Want Me」という三曲もなかなかメロディックなミディアムチューンで、いい流れですよね。
⑨なんて、完全にBozの曲調で笑ってしまうくらいです（笑）。

それにしても、こうしてじっくり聴いていくと「Blind Luck」というアルバムは全曲ミディアム・チューンで固められていて、いわゆる“バラード曲”というのが皆無である･･･という事に改めて気付かされました。どうしてなんでしょうかねぇ・・・???。全編バラード曲なしで勝負できる「AORアルバム」もなかなか少ないですよねぇ。

「Blind Luck」はCD化の際、「Nielsen Pearson」というユニット名と同タイトルの2作目と一緒にカップリングされた《2in1》として発売されていますので、かなりお得なものとなっています。2作目もなかなかの出来で、そこに収められた「If You Should Sail」は名曲ですので、是非ご一聴を･･･。ひょっとしたら、もうこのCDは廃盤になっちゃってるかもしれないですが、どこでみつけた時は有無を言わさずゲットしてくださいねっ。

（2005/01/10 up by Jeffrey)