♪AOR Album Review #21♪ Deniece Williams ♪

本来、ゴスペルをルーツに持ち、アーバン・ソウル系ボーカリストとして既に実績のあったDeniece Williamsにとって、3作目にあたる本作。AORファンにとって何が注目か･･･と言うと、言わずもがなで本作の内6曲でDavid Fosterが、3曲でRay Parker Jr.がプロデュースしているという事に他ありません。元々、Stevie Wonderのバック・ボーカルとして70年代半ばを過ごしていたDenieceは、その頃Maurice Whiteに見出されEarth Wind & Fireの全面バックアップの元、デビュー・アルバムを完成させました。その後Johnney Mathisとのデュエット・アルバムを経て、本作「When Love Comes Calling」の発売となるわけですが、なぜDavid Fosterがプロデュースかと言うと、間違いなく当時Earth Wind & Fireの「I Am」制作等で強い繋がりのあったMaurice Whiteに強く推されて、David Fosterがプロデュースを任せられたものと思われます。当時（70年代後半～80年代前半）のDavid Fosterは、もちろんトレード・マークであるバラードもいいんですが、白&黒の入り混じったミディアム・ファンキーな曲がムチャクチャかっこ良かったです。「曲良し、アレンジ良し、演奏良し」本作でもその良さは如何なく発揮されています。

何と言っても当アルバムの中での注目曲は、アルバム・タイトルでもある⑥「When Love Comes Calling」でしょう。当時既にいろんな所で顔を出し始めていた「AIRPLAY流アレンジ」がしっかり堪能できる内容となっています。当時のDavid Fosterのピアノの左手には要注意!!!･･･Bass&Drumsとしっかりユニゾンになって動くパターンが、ほんと心地良いです。Jeff&Hungateの何とも言えない「タメ」のグルーヴ感がたまりません。あとヒットしたのは、ディスコ・ダンス調でBill Champlinのバック・ボーカルがやたら目立つ（すごい存在感!!!）④「I've Got The Next Dance」やRay Parker Jr.プロデュースの①「I Found Love」です。①「I Found Love」は、軽快な爽やか系ミディアム・チューンで、この曲が好きだ･･･という人も多く、確か沼澤尚も自身のバンド「AOR Night」でもこの曲を演奏してました。あと、David本来の姿!?であるバラード曲に関しては、⑩「Why Can't We Fall In Love?」が印象的です。この曲は翌年、同じくDavid FosterがプロデュースしたTavalesの「Supercharged」というアルバムでも再びDavidは取り上げていますから、よっぽどお気に入りだったんでしょうねえ(笑)。

このアルバムには、当然の事ながら当時のDavid Fosterブレインが多数参加しており、(Key)David Foster、Greg Phillinganes、(g)Ray Parker Jr.、Steve Lukather、(b)David Hungate、Mike Porcaro、David Shields、Scott Edwards、(Ds)Jeff Porcaro、Ed Greene、(Back Vo)Bill Champlin、Maurice White、Maxine Willard Waters、(Horn Arr.)Jerry Hey etc.となっています。

Deniece Williamsは、このアルバム発表後も1984年の映画サントラ「フット・ルース」に収められた「Let's Here It For The Boy」をはじめ、たくさんのアルバム&曲を発表しましすが、世俗的な曲に嫌気がさした!?のか80年代後半以降は本来のゴスペル&CCM路線に戻ってしまい、そちらの路線でのアルバムが中心となります。

何にしましても、当時のブラック系アーティストと融合したDavid Fosterってほんと凄かったです。あ～もう一度、こんな音作りをしてほしいもんです･･･。

（2004/10/10 up by Jeffrey)