♪AOR Album Review #20♪ Ray Kennedy ♪

「ロンリー・ガイ」という邦題がつけられた本アルバム･･･とってもクールなパープル色のジャケットが、80's的で印象深いですよね。このOsaka AOR Projectのトップページでも一際印象的なこのジャケットですが、とにかく“AOR・ジャケット・コレクション”と名の付く所では必ずと言っていい程に使われています。それだけジャケットについては印象度が高いです(笑)。この写真は、AORアルバムでは頻繁に登場する写真家「モシャ・ブラカ」の作品ですよね。（モシャ・ブラカと言えば、「Silk Degrees/Boz Scaggs」「Hard Candy/Ned Doheny」のアルバム・ジャケット写真でも有名ですね）

さて、肝心要のアルバムの中身の方ですが、当時(1980年)の典型的な「TOTO-AIRPLAY系」の都会的で洗練された音作りが為されていて、思わずにんまり(笑)の内容となっています。それは、もちろんこのアルバムのプロデューサーとしてDavid Fosterが参加している事の他に理由は考えられませんよね。ほんとこの当時のFosterは裏切りません!!!(笑)。

主役であるボーカリストのRay Kennedy自身は、元々1970年代に「KGB」というR&Bフィールを含んだハード・アーシー系!?ロック・バンドを結成していたようですが、そのバンドでは今一つ成功を収めきれずに、80年代になってからは本来の自分自身とは異なる路線でイメチェンを図ろうとしていた･･･のが本アルバムのようです。ところが、そんな本来の自分とは異なるAORアルバムが当時の流れとも相まって、ここ日本では一番ウケてしまった･･･というのも何とも皮肉な感じがしますよね。

このアルバムの中で一つ注目したいのが、大半の曲をRay Kennedyと共作しているJack Conradという人物です。少々余談になりますが、このJack Conradは元々ベーシストで、David Foster&Jay Graydonともとっても深い繋がりのある人なのです。まだまだ、DavidもJayも駆け出しのミュージシャンだった1973～1974年にかけて、Jack Conradは時代を先読みして、David Foster&Jay Graydon、Mike Bairdらと共に「The Bottom Line」「Pegasus」「Midnight Flyer」という3枚のディスコ調セッション・アルバムを録音します。アルバム自体は何と言う事もなく、セールス的にも成功しませんでしたが、今聴くと当時(24～25歳)のDavid&Jayの若々しい息吹が感じられて、ほんと気持ちいいセッションです。未聴の方は是非ご一聴を!!!。AORではありませんので念のため･･･(笑)。

実はその当時の1973～1974年のセッションに、このRay Kennedyもバック・ボーカルとして参加していたり、曲を一緒に共作していたりするのですから、Rayはかなり古くからJack Conrad、David Foster、Jay Graydonとは顔見知りであったと推測されます。きっとそのあたりからの繋がりで、David Fosterがこのアルバムにプロデューサーとして参加しているものと思われます。ほんと人の繋がりって不思議ですよねー。

さてさて、話を本作「Ray Kennedy(ロンリー・ガイ)」に戻しましょう。このアルバムには、当然の事ながら当時のDavid Fosterブレインが多数参加しており、(Key)David Foster、Jack Conrad、Jai Winding、Steve Porcaro、(g)Steve Lukather、(b)Mike Porcaro、(Ds)Jeff Porcaro、Mike Baird、(Back Vo)Bill Champlin、Tommy Funderburk、Tom Kelly、Jack Conrad、(Horn Arr.)Jerry Hey etc.となっています。

アルバムは、Lukeのギターがカッコイイ①「It Never Crossed My Mind」で幕を開けます。あと同類のハード系ミィディアム曲としては④「Can't Seem To Find The Time」や⑥「You Oughta Know By Now」、⑧「Starlight」なんかが挙げられます。⑥「You Oughta Know By Now」については、八神純子の「パープル・タウン」の原曲でもあり、盗作問題としてFoster側から訴えられて「パープル・タウン」が当然の事ながら敗訴したのは有名な話しですよね。

他にも、バラード曲としては③「Just For The Moment」とか⑥「My Everlasting Love」がなかなか秀逸です。⑥「My Everlasting Love」については、この時の出来に気を良くしたDavidが、後にBill Champlinのアルバム「Runaway」の中でも再演していますよね。実は、この「My Everlasting Love」は、他にもEarth、Wind&Fireの名作「Faces」セッションの時にも再演されているようですから、その内またその時のバージョンも陽の目を見る時が来るかもしれないですね。楽しみにして待ちましょうー!!!。

Ray Kennedyは、本作録音後1984年には「マイケル・シェンカー・グループ」のボーカルのトラ!?として、マイケルの来日公演にも参加していたようでこれまた驚きです。またそれが･･･全くのダメダメだったようでして、ステージの床に歌詞のカンニング・ペーパーを置いて、それを見ながら歌っていたというのですから??????ですね(笑)。しかも、声が出てなくて歌的にも?????だったようです(笑)。

そこで徹底的にヘコんでしまった(笑)Ray Kennedyは、その後どうしてしまったのか全くよくわかりません。一度、90年代半ばに「ADLIB」誌のコラムに新譜が発売予定･･･みたいな記事が掲載されていましたが、それっきりですのできっとお蔵入りになってしまったのではないでしょうか･･･。Ray君がんばれ～(爆)。

（2004/09/19 up by Jeffrey)