♪AOR Album Review#7♪ Chicago ♪

60年代～70年代をBrass Rockの雄として突っ走ってきたChicagoが、オリジナル・メンバーであるギタリストのTerry Kathを不慮の事故で失い、音楽的な方向性が見えず迷走していた80年代初頭。この窮地に立たされていたChicagoを救ったのが･･･他ならぬスーパー・プロデューサー“David Foster”というのは、一般的によく言われる所です。

David Fosterがプロデューサーとして関わったのは「Chicago16(1982年)」「Chicago17(1984年)」「Chicago18(1986年)」の3作品ですが、どのアルバムもAOR度120%で甲乙付け難い出来となっています。60年代～70年代のChicagoファンには、David Fosterが来てからのChicagoは音の内容が甘すぎる!?と言われて、結構コケおろされたりしてますが･･･(笑)。そんな事はどうでもいいです。我々AORファンにとっては、間違いなく“David Foster3部作がChicagoの全てです!!!”と断言しましょう。

この3部作のどれがいいか･･･は、AORファンの間でも意見が分かれる所です。もちろん「Hard To Say I'm Sorry　(Chicago16)※チャート1位」も「Will You Still Love Me?(Chicago18)※チャート3位」も大大大好きな素晴らしい曲ですが、やはりアルバム・トータルとなると「Chicago17」ですね。

この「Chicago17」の凄い所は、1984年という「AOR不毛時代」の真っ只中にありながら、これだけ耳障りの良い素晴らしいサウンドを作り上げてしまっている所にあると思います。（ちなみに、David Fosterはこの「Chicago17」で1984年グラミー賞のベストプロデューサー部門賞に輝いています）
1984年に発売されたアルバムは、世間一般的にどのアーティストの作品も時代背景からして、エレクトリックなサウンド・メイキングが主体で“ポコポコ&ふにゃふにゃ”した感じのものが多いです。なんか今一つリズム&サウンドの芯がはっきりしなくて、すぐに飽きがきてしまう感じです。ところが、なぜこの「Chicago17」だけは1984年なのに素晴らしい出来なのか･･･？。もちろん、David Fosterによる作曲&アレンジの素晴らしさによる所が一番大きいのですが、もう一つ大切な要素があります。

今一度「Chicago17」の一つ一つの楽器音に耳を傾けてみてください。時代背景からして、シンセ系のキーボードに、シンセ・ベース、シモンズ・ドラムがサウンドの中心になっています。その中にあって、サウンドの芯を作り出している、ある楽器音に気付きませんか?　そうです!!!!　バッキングのギター音です。すごいカッティングだと思いませんか?　バラード曲以外は、どの曲にも絡んできてます。これがあるおかげで、間違いなくサウンドが立っていますよね。Chicago17のポイントは、“バッキングのギターにあり”と個人的には勝手に決め付けてます(笑)。

また、当時は「MTV」全盛の時代でしたので、「Chicago17」の各曲にはメンバー自身が役者に扮して撮影した非常に凝ったプロモーション・ビデオが用意されてまして、当時の「カフェ・バー」等の天井吊りモニターなんかでは、頻繁にそのビデオ・クリップが流れてたりして結構衝撃的でした･･･。

各曲についてですが、③の「Hard To Habit To Break※チャート3位」のPeter CeteraとBill Champlinの掛け合いボーカルなんて鳥肌ものですし、あと一般的には⑦の「You're The Inspiration ※チャート3位」もかなり人気ですよね。ちなみに、裏ネタとしましては⑧の「Please Hold On」は、レコードとCDでは収められているバージョンが全く異なってまして、サビの部分はメロディー自体が全く異なってたりします。シカゴ・ファンの方は、要チェックですね(笑)。